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2004.01.13

野方の喫茶店

1月5日午後4時ころ、いつもどおり中央線中野駅からバスで野方に着くと、少し歩いて喫茶店に入った。店にきたのは今年になっては初めてである。小ぢんまりとした店に、この時間お客はいなかった。
私は私の生涯でただ一人の師匠を持っている。この世に生まれ育って、巡り合うことの出来た幸せをいつも噛みしめている。もう15年を越えて教えて頂いている。
私が喫茶店に入るのは、師匠をたずねる時刻に合わせて時間を費やすためで、長いこと習いになっている。また私にとって好きな本を読む貴重な時間でもある。店に入って一番手前の席に、通りに面して座るとブレンドを頼んだ。ガラスのドアーを通して、何となく外の道を目の片隅に入れているのが好きなのである。
愛用のザックにはいつも本を2冊くらい入れておき、読む時の気分でどちらかを選ぶようにしている。その日は少し堅い方の本を選んだ。コーヒーに砂糖は入れない。クリームだけである。30代と思われる女主人とはもう馴染みになっているが、特に話をしたことはない。その日にはもう一人、年増の女性がいた。
突然ドアーが開き、賑やかな笛と太鼓の音とともに人が店の中に真っすぐに入ってきた。すぐにヒョットコだと分かった。女主人に対して大きな手振りで踊っているヒョトコの後ろ姿が目の前にあった。
この街ではお正月の懐かしい行事がまだ残されているのだ、と私の心が和んでくるのが分かった。笛や太鼓の音は、私に子供のころの気分を瞬く間に呼び覚まさせてくれた。
2004.01.05 16:17.JPGザックからデジタルカメラを取り出すと、もう踊り終わってドアーの外に出ているヒョットコに向けた。すると笛吹役がヒョットコに声をかけてポーズを取ってくれた。続いてお獅子役が笛と太鼓に合わせて舞ながら店に入ってきた。お獅子がひと舞して出て行くと、今度は役員が入ってきて女主人と話をしていた。こうして祝い事は終わった。
私も暫くして外に出ると、だいぶ先の方の人だかりの中に、笛と太鼓の音が聞こえていた。この街には小さな店が軒を連ねていて、いつも人通りが絶えない。それにしても八百屋、魚屋、総菜屋、洋品店、花屋など同業の店が何軒もある。ひと目で同じ店が3軒くらい見えてしまう。ここに来るたびに、いつもそのことに気が付いて、私は不思議な気分に見舞われる。この日も充分にその気分を味わっていた。
師匠の家に行くのには、これから西武新宿線の踏み切りを渡って10分以上歩かなくてはならない。くもって少し薄暗くなった道を歩き始め、やがて踏み切りの遮断機が閉まる前の警告音が鳴り始め、だんだん音が大きくなってきた。踏み切りをわたると住宅街になって新青梅街道に出る。
今日はここまで。

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