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2004.02.27

雲取山登山で受けた凍傷の克服記-2

ここからは私が思い出せることであって、私の母の指示に従って凍傷に対処した記録である。
凍傷になって水泡が出来ているのは手の指先、足の指先と踵、耳たぶである。水泡の皮膚の色がくすんだ灰色に変わり、中の漿液が黄色く濁ったようになるまでに、多分半月くらいは経っていたと思う。その頃から凍傷の治療に取り掛かることになった。
ある日、母は桐の羽子板を丁寧に焼いて黒い炭を作った。それから、保存してあった貴重な椿油を取りだし、その油の中に作ったばかりの桐の黒い炭を溶かし、真っ黒な色をした桐炭椿油を作り上げた。この桐炭椿油が凍傷治療のための唯一の薬品となった。
治療の準備は私の目の前で次々に進んでいく。先ず食事に使っている中皿に真っ黒い桐炭椿油を注いだ。次に太くて長い木綿糸用の縫い針に木綿糸を通したものを取り出し、皿に入っている真っ黒い桐炭椿油の中にその木綿糸を浸し、たっぷり桐炭椿油をしみ込ませた真っ黒い糸を作った。
凍傷の治療は、この桐炭椿油をしみ込ませた真っ黒い糸をつけた針で水泡を刺し貫き、糸に含ませた桐炭椿油と水泡の中の腐って黄色くなった漿液とを完全に交換させるのである。
その当時は未だ炭の持っている力についての知識はなかった。後年、木炭について学ぶようになって初めて、木炭の持っている殺菌力や遠赤外線効果、脱臭力などの力を知るようになったのである。
当時私が持っていた炭のイメージは、習字の墨からの連想で、腐らないし黴びないということくらいであった。

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