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2004.05.25

ラビ・バトラ 新世紀の大逆転」を読む-08

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第2章の中の「経済理論に騙されてはならない」においてラビ・バトラは、「世界経済における概念には、それを支える経済的・道徳的基盤が欠けている。それは富める者をより富ませるためのスローガンに過ぎない。たとえば、どの経済学者も自由貿易をすれば物価が安くなり、ひいては消費者の利益になると語っている。しかしこれは完全な絵空事であり、数学的にも不可能なことである。」という。

更にラビ・バトラはいう。「「自由貿易は全ての国の生活水準を引き上げる」とエコノミストたちが結論づけるのは、机上の理論であり現実ではない。日本・韓国・台湾、そして中国における経済的な奇跡は、保護貿易を背景にして起こったのであり、自由貿易によるものではないのである。」と。
続けてラビ・バトラはいう。「それではなぜ、これほどまでに自由貿易理論が世界中に広く支持されているのだろうか。それは、アメリカの私立大学に雇われている著名エコノミストの責任である。私立大学は経営上、裕福な企業や個人から資金を引き出す必要がある。助成金を受ける代償として、経済学の教授たちは、金持ちをより金持ちにする理論を提出するのである。」と。
その結果どうなったか、ラビ・バトラはいう。「アメリカの多国籍企業は自由貿易によって大いに利益を得た。多国籍企業は賃金の低い国に工場を建て、自由貿易国に輸出を始めたのである。それによって、明らかに多国籍企業の利益とその重役たちの給料は上がった。しかし、自由貿易国の製造業は利益を出せず、実質賃金は縮小したのである。多国籍企業は自らの利益のために、この自由貿易を支持した。そこからおこぼれを受けるエコノミストや政治家もしかりである。」と。
私は私の観点から考えてみようと思う。自由貿易は利益の追求を最優先する企業側から見た貿易のあるべき姿で、自由貿易国の弱小企業の利益を縮小させることによって、巨大な多国籍企業がさらに利益をあげるというのがその方法であると私は思う。つまり、金持ちが更に金持ちになる自由こそが、資本主義国アメリカの自由なのである。
アメリカは人権思想の淵源であり、フランスの「宣言」に先立つマサチューセッツ州憲法の第1条は、注「全ての人は、生まれながらに自由かつ平等であり、一定の、生来の、本質的に譲り渡すことの出来ない権利を有する」と述べているが、この中の「人」を「富」と置き換えてみると、アメリカの現状をよく言い表している、と私は思う。
さらにヴァージニア憲法の第2条は、注「全ての権力は、人民に与えられており、したがって人民に由来するものである。為政者は人民の受託者であり公僕であって、いずれの場合にも人民に対して責任を負う」と説いているが、ここでも「人民」を「富」と置き換えてみると、なおアメリカの現状をよく表している、と私は思う。
(注、「」内は引用先「仏教と資本主義」長部日出雄著・新潮文庫42ページ)
今日はここまで。

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» 高利貸し 味方する党 どこの党/政官業 ロビー活動 力の差 [アルデバランの 夢の星]
色々引用させていただきました。どうぞ、よろしくお願いします。 [続きを読む]

受信: 2008.01.10 05:30

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