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2004.06.14

「鉄道物語 はじめて汽車に乗ったあの日」を読む-2

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「旅に出る」72ページを開いて眺めたとき、ふと思いが浮かんできた。青函連絡船が青森駅に着いたところのシーンである。北海道から東京に帰るとき、青函連絡船の3等船客室の中で私たち3人はウイスキーのボトルを1本開けてしたたかに酔っていた。

函館で待ち合わせた我々3人は広い3等船客室でくつろぎ、周りの人たちが次々と寝始めるのを眺めて談笑していた。その時、新潟県の新発田に転勤するという、その男が現れたのである。大柄な優しい顔の中年男性で、一緒に話したいといった。
見回してみると、3等船室で起きている者は我々以外にはいない。男性はやおら鞄の中からウイスキーの瓶をとり出すと、”家内が船に酔う前にこれで酔って下さい”といって持たせてくれたのだといって、一緒に飲もうという。
何を話していたのか覚えていないが、我々は相当に酔っていたらしい。青森港に近づいてきたころ船員が現れて、”お客さんたち酔っていますね、1等船客と一緒に早く出してあげられますよ”といった。
話を聞くとあの人に100円出せば1等船客の出口から出してあげられますという。あの人は、立派な制帽をかぶり肩章をつけている人で、早速一人当たり100円をあの人に差し出した。
これからが事件だったのである。私が一番しっかりしているというので、列車まで早く走っていって席を確保する役になリ、荷物は2人が持って後から行くということになったのである。
私は1等船客の出口から出ると、一目散に東北線の列車に向かって走った。ぐんぐん人を抜いて一番先に列車に到達してみると、最後尾の列車には人は一人もいなくてガラ空きである。ナーンダ空いているじゃないかと思って更に先に走っていってみると、次の車両からはビッシリと人が乗っている。更に走っていくとどの車両にも人がいっぱいである。
アッと気がついて振り返ってみるとプラットホーム一杯に真っ黒になって人が押し寄せてきているのが見えた。私は慌てて引き返したが最後尾の車両の中にはもう人が一杯である。その時、笑い声とともに私の名前を呼ばれて、後続の2人が笑顔で座っていて私の席も確保していることを知った。
それからもう何年経つか分からないが、振り返ったときの黒山のような人の群れとシマッタという思いが交錯して時々思い出される。
今でも、この早とちりの癖は少しもおとろえていない。

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