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2004.06.22

「鉄道物語 はじめて汽車に乗ったあの日」を読む-5 小田急線・下北沢駅構内にあった「箱根そば」の生そば茹で立ての味

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「駅で食べる・飲む・買う」129ページの[駅そば]には「出雲そば」「祖谷そば」などから、八王子、立川、上野の駅そばの思い出が書かれている。それを読んでいて思い出したことがある。むかし下北沢駅を通っていた頃のことである。

小田急線の各駅の駅そばには「箱根そば」が多かった。そんなある日、いつもよく寄っていた下北沢の「箱根そば」の店先に「生そば茹でたて」と、うろ覚えであるがそう書き出されていた。
店内に入ってみると、カウンターの内側に横に長くステンレス・スチール製の小奇麗な2つのシンクが目に飛び込んできた。一つのシンクには湯が沸き立っていて、もう一つのシンクには冷水が入っているようである。
今まで食べていた「駅そば」というのは、あらかじめ棚に揃えて置いてある「そばの茹で玉」を「深めの茹でざる」に入れ、沸騰している湯に短時間くぐらせて暖めただけものであった。
カウンター越しにおやじさんの声がして、”少し待ってて下さい、これから茹でたのを出しますから”という。そこには茹でたそばがまだあったのだが、これから更に茹でるから少し待っていて欲しいといっている。
見ていると、まず大量の生そばを大きな四角いざるの中に入れ、ざるのまま沸騰している湯の中に沈めた。茹で上がった頃ハンドルを回してざるを引き上げると、ざるは回転しながら隣の冷水が入っているシンクの方に傾いて、茹で上がったそばを冷水の中に放った。
冷水の中でそばをもみ洗いすると、まず最初に私の「盛りそば」を一丁作り上げ、”お待ちどう”と威勢よくいって笑った。食べる前に、おやじさんの顔からそばの旨さが伝わってきたのである。
”なるほど旨い!”私はおやじさんにお返しをして笑った。それはもう、今までの駅そばの味とは断然違っていた。麺の太さ、湯で加減、汁の味が渾然一体となって新しい駅そばの誕生を告げていた。
「箱根そば」は独特の汁の味を売り物にしていて、お持ち帰りように小瓶にわけた「箱根そばの汁」を置いていて人気があり、当時私も買って帰ったことがあったほどである。
それから間もなく、中央線渋谷駅構内のよく立ち寄っていた駅そばの店で、同じ生そばの茹で立てにお目にかかることになった。
この店は奥行きがある広い店で、番台からひと声奥に注文を伝えると瞬く間にそばが出てくる店である。奥のカウンター越しに、渋谷駅の構内の「駅そば」店で使われていた器具と同じようなステンレス・スチールの輝きが見えた。
茹で立てそばの味も格段に旨い。そばの太さなどは箱根そばのものとよく似ていて、同じ麺屋のものかなと思ったことを覚えている。この店もそれまでは、そばの茹で玉を暖めて出していたのだから、その旨さは衝撃的であった。
生そば茹で立ての駅そばに出会った、これが私の思い出である。

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