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2004.09.19

箱根の山の土地を買った都会人の話を思い出す

だいぶ昔の話になるが、箱根の山の中を走る林道の側に、数百坪の土地を買った東京の人の話を聞いたことがあった。現地を見ずに買ったその人は、買った土地の登記台帳を測量会社に渡し、その土地の確定を頼んだそうである。
はるばるやってきた測量会社の人たちが、その土地の確定をするため登記簿を頼りに境界地主に測量の立ち会いを求めたという。だがその結果は思いも寄らぬことになってしまったのである。

境界地主4人は、誰一人その土地を認めなかったのだそうである。つまりその都会の人の土地は箱根の山には見つけることが出来なかったので、登記簿上の土地を持ってはいるが現実の土地を手に入れることは遂に出来なかったのだそうである。
この話を聞いた私は、登記簿に登記されているその土地というのは一体何なのだ、と不思議に思ったのである。
その後、機会があって箱根町の登記所に寄ることがあったので、このことを聞いてみたことがあった。若い職員の丁寧な説明によると、登記簿図面は現地においてその土地の存在を証明する根拠にはならないということであった。では一体何がその土地の存在を証明する根拠になるのかと聞いたところ、その土地を取り囲むすべての地主の同意があることが、その根拠なのだという。
この話は私の記憶の底にあって、未だ解けない謎を秘めているままなのである。
先日らい、小室直樹の「数学嫌いの人の数学」を読んでいて、「中世の所有は占有と不可分」というところにきてこの話を思い出したのである。話は動産の例であるが「所有者がその動産を実際に占有しているかぎり、権利として保護されたのである。」そして、「驚くべきことに、実は日本における所有とは、いわばこのような中世的所有であるのです。」という。
私はここを読んで、箱根の山は日本の中世を生きているのかも知れない。そう思ったのである。

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