« 陳舜臣の「上海雑談」を読む-11 | トップページ | 石井米雄の「メコン」を読む - 02        「ムン川・モチ稲・ウルチ稲」 »

2004.11.16

石井米雄の「メコン」を読む - 01        「ルア・ハーン」

先日まで読んでいた陳舜臣の「上海雑談」を西荻窪図書館に返し、次に借りてきたのが石井米雄の「メコン」である。だいぶ前になるが長江の古代文明に興味をもっていたころ、長江源流を辿るうちにそこがまたメコン源流であることを知ったのである。
石井米雄の「この本は私の個人的なメコン紀行である。私の理解したかぎりの、私的なメコン物語である。」というこの本は、私にメコンの夢をきっとみせてくれる、そう期待しているのである。
この「メコン」の中から気に入った文章を取り上げて感想を述べてみたい。

「せっかくここまで来たのだから、メコンで舟に乗ってみたいと思った。Kさんも同意見だ。早速運転手のサウェーン君が。渡し船のおやじとの交渉にでかける。一時間三百バーツで「ルア・ハーン」を雇いあげることにきまった。「ルア・ハーン」とはタイの川で一番目につく喫水の浅い木造の川舟である。「ルア」は船、「ハーン」はしっぽの意。しいて訳せば「尾船」とでもなろうか。細長い船体の後尾から、先端にスクリューをつけた長い棒をつきだし、これを動力兼かじとして飛ぶように川面を走り回ることから、だれ言うとなく「ルア・ハーン」という名前が生まれた。
東洋のベニスといわれたバンコクに四通八達した運河を、のんびりと往来する船から響くやわらかな櫓の音は、古来ひとびとの心をなごませ、詩情をそそったものである。それがある日突然けたたましいエンジンの音に変わり、こよなく水辺の生活を愛した首都の生活者たちが眉をひそめるようになったのは、たしか工業化の波がタイに押し寄せ始めた1960年代のことではなかったかと思う。外国製の船外機艇と違って、スクリューに水草がからむ心配もなく、水深わずか数十センチの浅い運河でも、はたまた深水の田んぼでも自由自在に走れ回る「ルア・ハーン」は、またたく間に中部タイから全国に広まっていった。そしてついにメコン川にも登場する次第となったというわけである。」
私はここまで読んで思う。「ルア・ハーン」という名は初めて聞くが、細長い船の後尾から長い棒の尾を突き出して疾駆する様を想像すると、言い得て妙な名前だと思う。文章を読んでいると、けたたましいエンジン音も聞こえてくるような気になって、私の住んでいる吉祥寺の道路に時たま現れるバイクやオートバイのけたたましい音と比較してしまう。
「ルア・ハーン」に乗っているここケマラートは、メコンの河口から1400キロも遡ったところになるが、写真を見るとそうとう広い川幅でのようである。大河メコンはこの先どうなるか、興味津々である。
今日はここまで。」

|

« 陳舜臣の「上海雑談」を読む-11 | トップページ | 石井米雄の「メコン」を読む - 02        「ムン川・モチ稲・ウルチ稲」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/12847/1979791

この記事へのトラックバック一覧です: 石井米雄の「メコン」を読む - 01        「ルア・ハーン」:

« 陳舜臣の「上海雑談」を読む-11 | トップページ | 石井米雄の「メコン」を読む - 02        「ムン川・モチ稲・ウルチ稲」 »