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2004.11.20

石井米雄の「メコン」を読む - 04        「大いなる湖トンレサップ」

トンレサップという湖の名前は、もちろん初めて聞く名前である。著者石井米雄が1995年10月、「稲作民族文化総合調査団」の一員としてアンコールワットに行く途中の見聞をここに読んで、非常に面白いと興味を持ったのである。トンレサップは真に大規模な天然の洪水調整湖なのではないか、そう思ったのである。
この「メコン」の中で出合った「トンレサップ」という気に入った文章を取り上げて感想を述べてみたい。

「この調査団がシエムリアップの町を訪れたのは、もちろんアンコールの遺跡群の調査が最大の目的だったが、もうひとつ、トンレサップ調査という目的があった。トンレサップは、カンボジャのほぼ中央を、北西から南東に向かい百三十キロメートルに渡って細長くのびた、ひょうたん形の巨大な淡水湖である。有名なクメールの石造遺跡群は、この湖の西北偶に集中している、フランス語で「グラン・ラック」つまり「大湖」と呼ばれるこの淡水湖の面積は約二千七百平方キロメートルであるが、それは水かさが最低となる乾季の話。雨季もたけなわとなり、水かさを増したメコン河の水が逆流してこの湖に流入し始めると、それまでは浅いところで一メートル弱、深いところでも三メートルに満たなかった水深は、毎秒一万五千立方メートルから六万立方メートルにも達する激流によって、みるみるうちに水かさを増し、一気に十メートル以上の水深をもつに至る。それとともに湖の外延は拡大し、湖の表面は乾季の三・七倍にあたる一万平方キロメートルにふくれあがるのである。」
私はここまで読んで思う。昔よく知っていた神奈川県の相模湾に面した平塚市には、花水川が流れ込んでいる。この川の上流は大きく扇のように広がっていて、上流域に大雨が降って洪水が起こると扇の要の辺りに広がる田んぼは水没の憂き目に遭う。
上流域のたくさんの支流の水が合流点で氾濫し、水量の少ない川にバックウオーターとなって逆流することがあって、周辺の田圃に流入し、昔から農民は苦労してきていると聞いていた。
トンレサップを知って、この湖はとんでもない規模のバックウオーターを引き受けてつくられた天然の湖だと思ったのである。
この湖とともにカンボジャのクメール帝国がかって繁栄して消滅したが、このトンレサップは存在し続けている。この素晴らしい湖が将来にわたってなお素晴らしい姿を留め続けることを祈ってやまない。
今日はここまで。

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