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2004.11.27

石井米雄の「メコン」を読む - 11        「メコンは決して一本の河ではなかった」

メコン紀行はとても面白かった。河口のメコンデルタから源流部のランツアンチャンまで非常に魅力のある大河だということを知った。またこの大河が両岸に住む人々を分け隔てていないことも知った。そして急速に変貌を遂げつつあることもわかった。
この「メコン」の中で出合った「メコンは決して一本の河ではなかった」という気に入った文章を取り上げて感想を述べてみたい。

「メコンは遠くチベットの山中にその源を発する。その細流は、山々のふもとから流れこむ無数の支流の水をあわせて、「もろもろの河川の長」と呼ばれる大河へと成長していく。そして下流に、世界第一の稲作地帯となる巨大なデルタ空間を創出したのち、遠く南シナ海へと没してゆく。その流れに切れ目はない。しかし、メコンは決して一本の河ではなかった。これまで見てきたように、そこにはさまざまな顔があった。船をも砕く荒ぶるメコン。ありあまる「湖の幸」を恵むメコン。世界第一の稲作を生む豊饒の河メコン。仏塔に詣でる善男善女をやさしく運ぶ信心の道メコン。そして人々に物質的幸福を約束する「黄金水道」メコン。そのいずれもが、ヒマラヤの水の変化(へんげ)の、諸相のひとこまひとこまを示し出しているのである。」
続いて「最後にもうひとつ、本書では全く触れることがなかったが、国連のメコン委員会のイメージするメコンに国際河川としてのメコンがある。その仕事のひとつに、メコンの支流を利用して作った巨大なダムがあり、そこで生み出される電力が、ラオスの重要な外貨収入源のひとつとなっていることを指摘しておかなければなるまい。
二十一世紀にメコンはどう変貌するのであろうか。それを想像することは、楽しくもあり、また寂しくもあって、思いは複雑である。」
私はここまで読んで思う。メコンの流れは古代から現代まで、ほとんど変わらぬ姿で流れてきているようであるが、二十一世紀にはかなり相貌を変えるとみられている。人が森から出て都会に住むまで長い道のりであったが、メコンもそろそろ都会に通ずる河に姿形を整えていくのかも知れない、私はそう思うのである。
これで「石井米雄の「メコン」を読む」を終わる。

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